校長挨拶
プログラミング教育を研究していたら、思いがけないご褒美がたくさん生じました。
いつの間にか先生達のICT活用能力が高まり、効率的で分かりやすく楽しい授業が簡単にできるようになりました。
子どもたちはiPadとApple Pencilを駆使して、主体的・対話的に学ぶようになりました。
「学び方改革」が進んだのです。
それだけではありません。iPadやGoogle for Educationの機能を活用したら、「働き方改革」が大きく進んだのです。先生達の月の残業時間が20時間以上も削減できました。
プログラミング教育は、子どもたちの未来を生きていく力を育てるのみならず、今の学校を救う切り札になるかもしれません。
本校の研究は、総務省の委託、日産財団の助成、神奈川県・愛川町教育委員会の研究指定、また、「みんなのコード」の主任講師福田晴一先生や神奈川工科大学の金井徳兼教授のご指導、さらに、様々な大学や企業の方々のお力添えをいただくことで、進めることができました。
ご協力くださった皆様に深く感謝申し上げます。
研究の概要
公開授業
2年生 国語『お話のさくしゃになろう』
2学年の単元『お話のさくしゃになろう』は、「はじめ・中・おわり」の絵から想像し、簡単な物語を作る学習です。
電子紙芝居としてアニメーションを作る活動を行うことで、より自由で楽しい物語の発想が出てくるのではないかと考えました。
さらに、その動画を見ながら文章化することは、より正確な表現を生み出すきっかけになるのではないかとも考えました。
アニメーション作りを通して、順序化であるシーケンス、トライアンドエラーや、修正であるデバック、より良いものにするための最適化であるアルゴリズムといった、プログラミングの考え方につながるのではないかと思います。
この単元に入る前の学年の取り組みとして、Keynoteに慣れ親しむことを行ってきました。例えば、『ミリィのすてきなぼうし』という単元では写真の頭に帽子を描き加えたり、『あったらいいな こんなもの』では、アニメーションで発表をするといった活動を行ったりしました。
3年生 総合『東京五輪のデジタル百科事典』
Keynoteを使いプレゼンテーションを製作する過程は、自分の頭の中にあるイメージを試行錯誤しながら作りあげる作業であり、論理的思考そのものです。
また、自分が伝えたい種目について、本やインターネットで調べ、聞き手を意識してまとめ、発表し、フィードバックを得て修正を加えていく活動を行うことで、論理的思考のサイクルを回し続けると考え、この単元を構想しました。
最終的には、発表する子どもの音声データもKeynoteに挿入し、全員のプレゼンテーションを結合して、百科事典にしようと思います。
Keynoteを使ったプレゼンテーションは、3年生には正直難しいのではないかと思いました。
ですがやってみると、Keynoteの使い方を一度覚えてしまうと、子ども達は自分でどんどん工夫して作っていました。
6年生 総合『未来を想像しよう-宇宙エレベータ編-』
6年生は、総合的な学習の時間の1年間を、「過去・現在・未来」に分けて取り組んでいます。
1学期は「過去」をテーマとして、1年生と一緒に活動することで、自分たちの成長を感じると共に、関わった方々へ感謝の気持ちをもつことができました。
2学期は「現在」をテーマとして、自分を見つめ直し、国語の「未来がよりよくあるために」の学習と関連させ、先進技術について情報収集し、整理・分析を行いながら提案内容をまとめました。
3学期は「未来」をテーマとして、自分ができることを考え、今ある仕事がなくなる可能性や、今はまだない仕事が登場してくること、大規模な自然災害が近い将来起こるかもしれないことにも気付きました。
また、日本大学理工学部青木義男教授に講義していただき、宇宙旅行や宇宙に移住することは夢の話ではなく、現実として、その計画が進んでいることを学びました。宇宙エレベーターの製作を通して、新しい時代のものづくりに関わるだけでなく、協働的に学習しながら思考力・表現力・判断力を養い、それぞれが未来を創造するための態度や資質を養っていきたいと思います。
特別支援教室 C領域『コードAピラーで遊んで学ぼう』
日常生活のなかには、たくさんのプログラミング要素があります。
例えば、調理をするとき。
例えば、現在地から目的地に到着するための移動手段として交通機関を活用するとき。
本校学習室では、これらの活動をチャレンジタイムと位置づけ、将来、社会の一員として自立して生活するために、年間を通して取り組んでいます。
そんな中、学習室の子ども達に「プログラミング」そのものを学ばせたい、と考えました。
これは、C領域「教育課程内で各教科等とは別に実施するもの」にあたります。
本校では、マインドストーム、WeDoといったプログラミング教材を用いて、学年に応じてプログラミングを体験します。
学習室では、その子の実態に応じて課題を検討していくうちに、コードAピラーというツールにたどり着きました。
本体のボディーそのものが、プログラムを可視化しているため、学習室の子ども達にとって、直感的に扱うことができる優れものだと実感しています。
まさに「遊びながら、楽しみながら、思考を育むサイクルが構築される」様子を体感できるのではないかと思っています。
総務省委託プログラミングクラブ
当日は、希望する複数の子ども達が課外活動としてプログラミング活動を楽しみました。2つのグループに分かれ、1つではレゴ®︎・マインドストームをつかった活動を、もう1つでは、レゴ®︎WeDoを使った活動を行いました。
指導助言
みんなのコード 福田晴一先生
当日の4つの公開授業について丁寧な指導助言をいただきました。プログラミングやICTを活用した授業を教科に適切に取り入れることで子供たちの自己肯定感を高めることができるという視点は、今後の取り組みにおいても大変重要なポイントだと気づかされました。
相模原教育センター 渡邊茂一先生
現在の国全体としてのプログラミング教育の様子や、具体的なカリキュラムマネジメントについてご講演をいただきました。「コンピューターの開発者の気持ちを考えたことがありますか?」という問いは、参観者の多くの方々にとって示唆に富んだものとなりました。
参観者のみなさんの声
子ども達の達成感がすばらしかった
「今日の学び」Mentimeterでの投稿より
一つでも強みを持つことで、人が変わり、仲間が変わり、学校が変わるということを見せていただきました。
「今日の学び」Mentimeterでの投稿より
やらなければいけないと負担に思っていたプログラミング教育、働き方改革になるなら頑張りたい
「今日の学び」Mentimeterでの投稿より
子ども達の力は無限だとわかりました。教師も時代と共に変化しなければいけませんね。がんばります。
「今日の学び」Mentimeterでの投稿より
研究パンフレット
プログラミング教育はとても魅力的な教育活動です。プログラミングの授業を行うと、子どもたちから笑顔・歓声・声援・感動・拍手が沸き上がるのです。子どもはもちろん、授業を行った先生達も成就感と達成感に包まれます。
そんなプログラミング教育のワクワク感やドキドキ感をお伝えしたいと思い、旅行情報誌風にカラフルでビジュアルな研究パンフレットを作りました。しかも、マジック折りの不思議なパンフレットです。
この冊子を広げると、裏面は「日本初!?3Dプログラミング年間計画」と「28の授業実践例」のポスターになります。そのうち15の授業実践例にはQRコードを付けました。QRコードを読み込んでいただくと授業の指導案が取り出せるようになっています。
愛川町公式フォトニュースに掲載
愛川町公式ホームページ内のフォトニュースで、本校の研究発表フェスティバルの記事を詳しく掲載してくださいました。ぜひご覧ください。